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「む・・・そこかっ!!」
おばあさんは担いでいた桃を放り投げると、懐から研いだばかりのナイフを取り出し、その桃にむかって投げつけた。
「うひゃぁっ!」
その桃は、外部からの力を受けたわけではないのにゴロンと転がると、そのナイフを避けた。
「ほぉ、カリーニンくん。どうやら安全ではないようだが」
おじいさんが、チクリと嫌みを言う。
「いえ、安全でしょう。こちらに危害を加える気なら、もっと早急に始めていたはずです。そこの桃、一体我々に何の用だ?」
端から見ると、桃に話しかける変な人にしか見えませんが、本人は至って真面目である。
「えー・・・その・・・ただ、自分を割ってくれる人を探して川を流れていたので・・・」
「理由は?」
「私の中に子供がいます。その子を育てていただきたいのです」
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