祭の出店

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8月の中頃、私は友人二人と一緒に地元の大きな祭に出掛けた。 時間は夕方5時。 空は若干暗くなってきていたが、気温は相変わらず蒸し暑い。 駅前で友人二人と合流し、祭一色の並木道を歩いていく。 屋台と人々の熱気でじんわりと汗をかきながら、友人二人と他愛もない話をしながら歩いていると、前方に少し不思議なものを見つけた。 それは、一見して何の変哲もない周りにある出店と同じようなものだが、近づいていくうちに変だということに気が付いた。 まず、外装が焦げたように真っ黒で、周りの街灯の光がまるでそこだけ当たっていないように薄暗い。 さらに近づくにつれて、その出店が妙な冷気に包まれているように涼しい風が足元を這っていく。
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