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その男、探索る。
坂本said――――――
全ての者が笑って暮らせる国になればいいと
願ってあの世を去った結果が
これか、
「土方!!」
そう叫びながら研究室の扉を開ける
「ん…なんだ、お前か、坂本」
「…はぁ、寝てたな
御影…」
目を擦り
目の前の籠を開ける
今度は何を飼って……
!?
「なんだ、用があるならささっと言え」
「いや、その危ないのしまってから話そうよ」
「“ちまき”と言え」
「ちまき!?マムシにちまき!?」
可愛すぎるだろ
人をも殺すヘビにちまきて…
笑うとこなのか
引くとこなのか
…わからない
「可愛いだろ」
「まあ…ヘビは可愛いけどよ…
俺はシマヘビ派…
じゃなくて!!」
「ん?」
マウスを与えて幸せそうにその“ちまき”の姿を見ている
力が抜けるよ全く
こいつが
あの“土方歳三”の生まれ代わりだと誰が信じるんだ
「御影、“お波”がいた」
「は?」
目を見開いて俺を見た
「波を見たこの大学で
間違いはない、あれは波だ」
「…っ!!
何故、すぐ呼ばねぇんだ!」
「いや、俺電話したし」
ここまで余裕無い土方の姿を見るのは、それこそ数百年ぶりだった
「……、っ」
ヘビを籠へと直し御影は外を見つめる
それが悲しみを示しているのか、
喜びを示しているのかは
端かは、照れを示すのか
俺にはわからない
「なんにせよ探す必要はないだろう?
こんなに、近くにいるのであれば」
「ああ…」
そう呟いて
何を安心したのか
彼は再び
眠りについたのだった
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