さぁ朝だ、目覚めよう

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何だったんだアイツは。 何故突然。 あんなに顔を真っ赤にして熱でも……。 待てよ、真っ赤に? 俺はハッとひらめいた。 頭に浮かんだのは昔読んだラブコメの漫画。 (まさか!) アイツ、俺に気があるのか? 漫画の中にこういうベタなアプローチがあったようななかったような。 そうかそうか、なるほど。俺の気をひきたくて突然あんなことを。 だが悪いな純子……俺は同い年には興味が無いぜ。どうせならセクシーなお姉さんが良い。 許せ! 納得したらもっと眠くなってきた。やはりゲームは1日5時間までにしとくべきだった。 それにしても純子……まさかそんな事情があったとは。 思春期の男子とは単純なものである。俺はすっかりそう思い込んでいた。 そして勝手な妄想に火がついた俺は止まらない。 ついでにニヤニヤも止まらない。 ムフフフと妖しく笑う俺を遠巻きに、クラスメイト達は次々と帰宅して行く。 俺はふわぁ、と欠伸をした。 いよいよ本格的に眠くなってきたな。 パタパタ、パタパタ。 生徒達が歩いたり走ったりして生み出す雑なリズムが机越しに伝わってくる。 そのリズムの効果なのか何なのか……徐々に先程の純子の件に対する高揚感は薄れていく。 (あいつ、思えば誰にでもあんな感じじゃね?) 漫画は漫画。人はそれが現実にはならないから、漫画にするわけで。 それに純子のああいう態度は今回が初めてじゃない。 そんな冷静な思考を取り戻した時だった。 パタン。 1つの足音。 それを境に俺の意識は吸い込まれるかのようにスッと消えていった。
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