予知能力

2/5
前へ
/104ページ
次へ
 俺は、会社で遅くまで残業をし、疲れて家に帰り着いた。  時計を見ると、すでに十一時を過ぎている。  俺は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、咽の奥に流し込む。  ため息が出るほどに上手いと思いながら、すぐに一本をからにした。そして、続けざまに二本目に手を出す。しかし、疲れていたのか、俺は二本目を飲み終わらないうちに、うつら、うつらと眠ってしまった。  ボーン、ボーン、ボーン、ボーン  部屋の柱時計が鳴る。俺はその音で目を覚ました。俺の部屋には祖父の形見の柱時計があるのだ。もちろん、光センサーなどは付いていないため、昼、夜関係なく、二時なら二回、五時なら五回と、時刻の分だけ鐘を鳴らすのだ。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91人が本棚に入れています
本棚に追加