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東京都伊豆諸島──そこに浮かぶ小さな孤島があった。名前は【亜帋島<アガミトウ>】と言う。
人口は約三十人弱で、交通手段は船だけである。
そこから少し離れた所に島があり、【亜帋島】の中学生達はそこにある中学校に通っている。
猛暑厳しい夏、彼らは神社にいた。
木の下には四人の影が伸びていた。
「今年の夏祭りは、色んなところから人が来るらしいね」
眼鏡をかけた158㎝の男の子──敷崎 御春<シカザキ ミハル>は、言った。
それに反応するかのように、残りの影の主は答えた。
「だな。嫌だなー」と、三好。
「うん…」と、敷崎 希春<キハル>。
「ふーん」と、九澄 神無<クズミ カンナ>。
暑い日差しが体力を奪ってゆく。彼らは、涼しい所を求める訳ではなく、ただそこにいた。
神社には夏祭りを宣伝する旗が飾ってあった。
島は祭りを楽しみにしていた。
でも、彼らは夏祭りを楽しみにしては、いなかった。
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