プロローグ

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2つの「三角形」が3つの密接な「辺」によって重なっただけに過ぎない六角形。 それはやがて、様々な形で辺を増やしていく。 関係を繋いでいく。 きっと一つ一つの辺だけならば、何も起きることはなかった。 きっと個別の三角形なら、平穏は保たれたままだった。 関係が、六芒星(ヘキサグラム)を描いてしまったが故に、運命は動きだした。 ゆっくりと。しかし、確実に。 「運命の歯車」などというものが実際にあったとしたら、見事に噛み合う音が聞こえたことだろう。 それでも、すぐには変化を見せることもなく、見かけ上は仲の良い6人だった。 明確にその動きを見せるきっかけとなったのは、ある夏の日。 動き出したが最後、誰にも止めることは出来なかった。 止められるはずなど、なかった。 全ては、愛故に。 ただ、愛のためだけに。
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