お菓子の家

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よくやるよ……。 僕は心の中で毒づいた。 しかし、お婆さんはグレーテルの嘘臭い作り話を信じたらしく、しきりに僕たちに同情してくれた。 そこにつけこんで、グレーテルが涙で訴える作戦に出た。 「私たち、行くところがないんです。掃除でも洗濯でも何でもやります! だから、ここに置いて下さい。お願いします、お婆様」 いったい、グレーテルは何を考えているのだろう? 僕はただ、事の成り行きを静かに見守っていた。 お婆さんがグレーテルに言い包められる様を……。 静かに……。 黙って……。 勝敗は初めからわかっていたけれど。  
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