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グレーテルの豹変は、両親や村の人たちに怒りと憎しみの種を蒔いた。
だいたい、財力を笠に着て、女王然と振舞うグレーテルが、村の人たちに反感を買わないわけが無かった。
かつてグレーテルのことを『まるで天使のよう』だと言っていた人たちが、今度は『まるで魔女のよう』だと口々に言うようになった。
それはいつしか『グレーテルは魔女だ』に変わっていった。
僕は、そんな村人たちの心の変化を、敏感に察知していた。
それをただ、静かに見守っていただけ。
ただ、みんなの胸の中にある、グレーテルに対する怒りと憎しみの種が十分に育つのを待っていた。
ただ、それだけ……。
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