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確かに黒刃は眼鏡で隠れてはいるが、目が大きく肌は白い。はっきり言えば男らしくなく、だからと言って女っぽいという訳ではない。中性的な印象が強い。
「止めろよ、嫌がってるじゃねえか!」
そのままにしていると連れて行かれそうだったので、敏朗は止めに入った。
取り敢えず最初に向かってきた一番背の高い男には腹に蹴りを。いつの間にか後ろにまわり、殴りかかってきた一番体格のいい男には踵落としを。話かけていた顔のいい男には顔目掛けてまわり蹴りをしてやった。
その状況をあたふた見ていた黒刃は、急に敏朗の手を掴み、走りだした。後ろを見ると、復活したらしい男逹が、何処に隠れていたのか連中の仲間らしい男逹と一緒に追いかけてきた。
★☆
「ありがとう。助けてくれて。」
その後二人は迷路のような道を通り、連中をまいた。少し落ち着いてくると、敏朗はお礼を言われた。
「いや、俺の方こそ助かった。まさかあんなに仲間がいたなんてな」
話を聞くと、前にも同じように声をかけられ、殴って逃げたらしい。今日は人数が多く、どうしようか悩んでいたそうだ。
「どうぞ。中に入って。お礼したいし」
そう言われ前を見ると、【BAR紅葉】と書かれた看板があった。
「BARって、バー!?お前こんな所にっ」
「僕家族がいないから、知り合いに部屋を借りて、かわりにお店で手伝いさせてもらってるんだ」
すると突然目の前の扉が開き、若い男が飛び出してきた。
「遅いじゃないですか!!心配したんですよ!………黒が彼氏連れてきっ」
バコッ ゴロゴロ ドスン
男は顔面真っ赤の黒刃に殴られ、地面を転がり、壁にぶつかった。
「彼は同じクラスの八神敏朗君!西沙国の不良にまた絡まれていた所を、助けてくれたんだ!!」
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