7人が本棚に入れています
本棚に追加
1の過去-patoradat.
深い深い森の奥。樹木の間から漏れる光が辺りを照らす。
多くの動物がまだ意識を手放したままのその時間は、葉にしがみついた露が力尽きて地面に叩きつけられる頃。
ああ、哀れだ。
弾けて吸い込まれていく雫を見てそう思った。
重力に逆らえずに無様に消えていくなど。
「僕には出来ないな」
「何の話?」
「!・・・・・・なんだ、お前か」
不意に話しかけられてその場から遠退き、相手を見る。
それは知った顔だった。
「なんだ、とは失礼だな」
「黙れオカマ」
「女装癖に言われたかねぇよ。つかオカマじゃねぇし」
最初のコメントを投稿しよう!