1の過去-patoradat.

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1の過去-patoradat.

深い深い森の奥。樹木の間から漏れる光が辺りを照らす。 多くの動物がまだ意識を手放したままのその時間は、葉にしがみついた露が力尽きて地面に叩きつけられる頃。 ああ、哀れだ。 弾けて吸い込まれていく雫を見てそう思った。 重力に逆らえずに無様に消えていくなど。 「僕には出来ないな」 「何の話?」 「!・・・・・・なんだ、お前か」 不意に話しかけられてその場から遠退き、相手を見る。 それは知った顔だった。 「なんだ、とは失礼だな」 「黙れオカマ」 「女装癖に言われたかねぇよ。つかオカマじゃねぇし」
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