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「猿。今日は楽しかったなっ!」
「はい、信長様。」
「所々ボロボロになったこのあけちー人形も、私の大切な宝物じゃ!」
夕日に包まれ、茜色に染まった艶やかな黒髪を秀吉が撫でる。
「信長様…」
「な、なな何じゃ!?しゃる(猿)!?」
「それがしはこの世を太平に導くのは信長様だと思っております。」
夕日の様に真っ赤になっていた信長が落ち着きを取り戻し、静かに秀吉を見据える。
「…猿。私もこの世をまとめ、太平の世を築きたい。ただその為には幾つもの困難がある。」
「存じております。」
信長の言葉に秀吉は力強く頷く。
その信念に答える様に
「…じゃからの。その時まで私を支えてくれるか?」
秀吉は小さく笑い夕日を眺める。
「おや、もう日がこんなに沈んでしまいましたか。信長様、急ぎましょう。早くせねば家臣達に叱られてしまいます。」
そう言って振り返ると秀吉は信長を優しく抱き上げた
「ひゃあっ!?」
信長は急に抱き抱えられ、じたばたとあわてふためく
「それがしはいつまでも貴方様を支え続けますよ。これからも、この様に…」
「猿…。おぬしが居たからここまで来れた。これからも傍に居て欲しいぞ…」
抱き抱えられた少女が小さな手を秀吉の首に廻す。
「よしっ。急ぐぞ猿!日が沈まぬうちに城に着かなければ切腹じゃぞ!」
「はい。信長様!」
ころころと笑う少女を抱え、城へと駆け出し始める。
「…猿。ありがとうな」
信長の唇が秀吉の頬に添えられた…
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