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この日は城下町のお祭りの日であった。
祭囃子が町中に響き渡り、出店には色とりどりの商品が並ぶ風景。
その幻想的な風景は秀吉にとって、心休まるひと時である…
「落ち着きますな、信長様。日々戦場に向かうそれがしも祭となると自然に笑顔がこぼれてしまいます…」
幾人もの命を奪った者でさえ、沢山の人々の笑顔に囲まれ祭囃子に包まれると癒されてしまう…。
祭とはそういうものなのである。
(信長様…ありがとうございます。)
こうして秀吉は信長の優しさにまた一つ、惹かれていくのであった。
「…って、あれ?信長様?」
気付くと、つい先程まで隣にいたはずの信長がいなくなっているではないか。
慌てて秀吉は振り返った。
「うまそうじゃのう…」
するとそこには、甘い匂いを放つわたあめ屋の前でよだれをたらす信長がいた…
(信長様…。)
こうして秀吉は信長の子供っぽさにまた一つ、呆れていくのである。
やれやれと秀吉はため息を吐き出すと信長に近付いていった。
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