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「信長様。わた菓子ならそれがしが買ってさしあげますよ。」
「いや、この日のために貯金をしといたからの。私が払う。おやじ、二つくれ。大きいのをたのむぞ!」
そう言って信長は懐から小判を取り出した。
それを見た驚いた秀吉は、信長に小さな声で問い掛ける。
(信長様…いつの間に貯金を?)
(いや、軍の予算を少しばかり削っての。その浮いた分じゃ。)
とても良い笑顔だった…
(なるほど…最近足軽の武器が足りなかったのはその為か……あぁ、素手で戦った勇敢な足軽達よ。お前達の死は決して無駄にはしないぞ…)
(んっ?何か言ったか?)
(いえ、何も…。)
このとき秀吉にとって大切なのは信長様の笑顔>>越えられない壁>>足軽の命であった。
秀吉が澄み渡った空に想いをはせていると信長に声を掛けられた。
「猿っ。猿にぴったりのやつがあったぞ!」
信長が指差す先では子供達が射的に興じていた。
「射的ですか。たしかにそれがしなら鉄砲の扱いには慣れておりますが…」
「うむ。猿の鉄砲の腕前は中々だからな!」
「それでは、信長様の欲しい物があればそれがしが取って見せましょう」
秀吉の言葉に信長がぱぁと顔を輝かせる。
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