つまんない

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つまんない

   高校に通い初めて二度目の春。  学年が変わっても、退屈な毎日は変わらない。  退屈な授業を受けて、退屈な家に帰るだけ。  友達は部活だバイトだぁって、放課後は何かと忙しいらしい。  私はと言うと、入りたい部活も無かったし、わざわざ働か無くてもお小遣には困ってはいない。  (こんな時、彼氏でもいたら違うのかな……)  などと取り留めの無い事を考えながら、いつもと同じ電車に揺られて我が家へと向かう。 「はぁ…つまんない…」  そんな言葉が、思わず口を突いて出てしまった。  慌てて車内を伺うが、幸い誰にも聞かれてはいない様だ。 (良かった……。独り言にまで出るなんて、どれだけ退屈してるのよ私は……)  その時、電車がホームへ滑り込み、相変わらず聞き取りにくい車内アナウンスが、最寄駅の一つ手前の駅名を告げた。
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