つまんない

2/2
前へ
/10ページ
次へ
   発車音と共にドアが閉まり、ホームを出ていく電車を見送る。  私は、見知らぬ駅のホームへ下り立っていた。  寂れた無人の改札を抜ける。  駅舎を出ると、そこには、知らない筈なのにどこか懐かしい、そんな町並みが広がっていた。 「私……何でこんなところで降りちゃったんだろ……」  私の住む市の隣町。 と言っても、ここから歩いて帰るとなれば1時間以上は掛かる。  その上、これと言って売りの無い、ただの田舎町。  普段なら、この駅で下りるなんて有り得ない。  けれど、私は無意識の内に、この辺鄙(へんぴ)町に、“非日常”を望んでいたのかも知れない。  そう考えると、私は妙に納得してしまった。  それは、私の胸が、“何か”を期待して高鳴っていたから。 「よし!」  私は、自分に気合いを入れて、見知らぬ町へと歩き出した…………          
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加