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「つまんない……」
期待を胸に、足を踏み入れた町。
そこは、古びた商店街が続いているだけだった。
(なによ! 何の変哲も無い……ううん、むしろダメダメな商店街じゃないのぉ!
でも、まぁ、現実なんてこんなもんよね……。
うん。分かってる。
『何か起こりそう!』なんて、子供見たいな事考えた私が悪かったのよね……。
はぁ……。 なんだか、虚しくなって来たわ……。
もう帰ろ――)
「あれ……?」
理想と現実の食い違いに落胆して、帰路へとつこうとした時だった。
私は、視界の片隅に、不思議な路地が映っている事に気がついたのだ。
その路地の奥。
十数メートル先の突き当たりが、店になっていた。
冷静に考えれば、なんの変哲も無い路地なのだが、その時の私には、何故かその路地――正確には、奥の店が気になって仕方が無かった。
「なんの店なのかな?」
路地の奥のその店は、古びた佇まいに、傾いた看板。
営業しているのかさえ怪しかったが、私はその路地の奥へと吸い寄せられていった…………
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