第1章

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マトは、先生の指示に従って クラスメイトと体育館に入っていった。 入学式では、誰しもある1つのことを思う。 ――そう、極端に長い。 開式の言葉から、校歌詠唱まで ちまちまとあるのだが、一番長いのは校長の話しだ。 新入生の中には、寝ている子もいた。 「新入生のみなさん――」 マトは校長が話し始めてから、全く覚えてない。 長い式が終わり、教室に帰る途中の廊下で、 朝、セダンから出てきて、 隣の席になった小鳥 遊が 1人で、マトの前を歩いていた。 マトはその後ろ姿を見て、 いろいろ唸ったあと、 「――うんッ」 1人頷いて、遊まで歩いていった。 「あ、あの!」 マトが吃りながら話しかけると 「な、なに?」 と遊は少し戸惑ったような反応をした。 「え、あ、いやぁ……」 話しかけた後のことを考えていないマトは 頭を掻きながら、頭をフル回転させて次の言葉を考えた。 「えっと、えっと……」 そして、考えついたのが――
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