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「あたしからしたら羨ましいよ~
あたし背がちっさいから、
バスケやったら伸びるかなぁと思ったのが
バスケ部に入りたい1つの理由なんだぁ」
「え?じゃあ、まだあるんだ?」
「たいした理由じゃないよ」
「え~、教えなよ~」
2人の明るい声が通りに響く。
授業が終わった後の、短い休み時間。
「ヨミの得意な科目って何?
やっぱり英語?」
「そうでもないよ
ドイツ語とは全然違うし」
ヨミは授業に使った教科書や、ノートをしまいながら言う。
「ふーん…」
マトはわかっているのかわかっていないのか。
「得意って程じゃないけど、数学が好きかな」
ヨミの言葉に、またもやマトが感嘆の声を漏らす。
「ほぉー、数学が好きな人って本当にいるんだぁ」
どうでもいいとこに反応するマト。
「マトは?
どの教科が得意なの?」
「それは――」
マトは溜めてから言う。
「それは、これから見つけるんだぁ
1番の体育以外は全部、横一直線」
ただ、得意なのがないだけじゃ。
「…フフッ」
ヨミはマトらしい答えに笑みをこぼす。
―――放課後。
マトは体験入部でバスケをやっていた。
ヨミは見学。
マトはコートを走り、先輩からパスを貰うと
ドリブルからのシュート。
シュートは上手く決まり、ゴールのネットに絡めとられる。
「「ナイシュー!!」」
周りから声が上がる。
と、部長らしき人が体験入部員を集め、
真っ先にマトに話かける。
「あなた、上手いね~!!
どっかでやってた?」
「は、はいっ!!
小学校の時に公園で、男子に混じって」
部長に話かけられたマトは、緊張しながらも着実に答えた。
それを聞いた部長は、
「うん!!十分!!」
と言ってくれた。
ヨミは、マトの練習を見ていたが
いつの間にか、その隣の部活に目がいっていた。
その部活とは、
―――バレー部。
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