第1章

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家を出ると、いくつもの坂が真っ先に目にはいる。 「――はっはっはっ」 マトは坂を一気にかけあがり ある公園へと寄り道をする。 この街は山に囲まれた盆地で 坂がいたるところにあり この公園も、坂を上がった先にあるため 街を一望できる良いスポットになっている。 新しい学年、学期に相応しい 満開の桜が咲き誇り、風に乗って流れていく。 特に変わらない街だが、 マトはこうやって街を眺めるのが好きだった。 「すぅ――はぁ~」 深呼吸をして爽快な空気を吸い込む。 「……あっ」 マトは声をあげると、おもむろに 携帯を取りだしカメラ機能を使って写真を撮った。 ―――カシャ 撮れた写真を見てマトは 「にひっ♪」と笑い、 データを保存した。 その時にチラリと視界に入る携帯の画面に表示された時刻。 そして気付く。 「ぅあぁぁっ電車電車!!」 急いで駅へと走る。 切符を買うのももどかしく、 走って改札を抜ける。 ―――プルルルル 電車の発車予告音が鳴りはじめる。 「ぅひっ」 マトが駆け込みで乗り込むと同時に閉まるドア。 「ふぅ~…」 マトは安堵のため息を漏らす。 電車の中を見ると、自分と同じ制服を 着ている女の子たちがちらほらいた。 マトは流れていく景色を眺めながら次の駅を待った。
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