過去と未来

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かつて国があった。 歴史ある、壮大な国。 中央に城がそびえ、周囲に民が住む、美しい街並み。 ある日、その国が一夜にして失われてしまう。 その理由を知るものは、皆無に等しい。 1人の男の欲望と 1人の少女の悲しみが生み出したものだなんて 知るものは、ほんのわずかで だが、残された者たちは、諦めなかった わずかな希望を頼りに、彼らは諦めることなく、前に進み続けた 進んだ先に待っているのが、戦いだったとしても 破壊を望む魔女が、立ちふさがったとしても 彼らは諦めなかった そして やっと掴んだ希望が、国を取り戻した 名を変え、まだ小さなものではあったが、彼らは失ったものを取り返した …その、歴史のなかに ほんの少しだけど "異世界のもの"が関わっていただなんて 誰も知らないだろうし 歴史書にも記されないだろう 世界を渡る代償として、"彼ら"は記憶を失ってしまうから だけど そこに "彼ら"がいたのは事実で 例え忘れてしまっても 心は覚えている だから 彼らは 何度でも、この場所で 同じ仲間たちと 笑いあえる
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