過去と未来

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ぴんと立った長い耳に、丸くてふわふわした、愛らしい体。 色は白だったり灰だったり、黒のぶちぶちだったり。 正直、かわいい。 彼自身も、うさぎはちょっと(いやかなり)好きだったりするから、少しは関心はあるのだが… 問題は。 奴らの、異常なまでの大きさだった。 一羽一羽が、大型犬…へたすれば子馬ほどの大きさがあるのだ。 それが、何十という数で押し寄せてくれば… ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!! もはや、災害の域である。 足下から、地震に近い振動がひしひしと伝わってくる。 「はぁ…最悪…」 ため息をつきながら、彼は障害物をひょいひょい避けながら、走った。 (ちゅーかこの光景…前にもどっかで見たような) ふと考える。 思い出せないので、すぐにやめたが。 走りながら、周りを見た。 場所は日当たりのよい、森。 緑が茂り、小鳥がさえずっている。 そんななかを、うさぎに追いかけられながら全力疾走って… (どんだけ俺、アホやねん) 胸中で毒づいた。 …と。 キラッ―― 「お?」 視界のすみに、光が走った。 それに、 「やっとか、遅いわ」 け、と文句を言って。 彼は足を止めた。 振り向く。 やっぱり、大量のうさぎが迫ってきていて。 「……」 ドドドドドドドドド!!!! もはや恐怖と呼べるその光景に… 彼は、ぴっと人差し指を向けて。 不敵な笑みを浮かべ… 「チェックメイト」 言った。 瞬間。 カッ―――!! まぶしい光が辺りを覆いつくす。 そして。 地面に現れたのは…
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