過去と未来

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青年と、うさぎ達との、ちょうど真ん中の場所。 そこに、円が描かれた。 光を放つ、巨大な円が。 その中央に描かれるのは、三角を2つ重ねた、星の形。 カッ――!! さらに円は輝きを増す。 いきなり現れた光に、うさぎ達は突進をやめ、立ち止まり右往左往していた。 「ったく…遅いっちゅーの」 光を眺め、青年はため息をつく。 と。 次には。 ごごごごごご…!! 地響きをあげ、円の中から、徐々になにかが姿を現し始めた。 ごご…ご…!! 光とともに、地面から生えてきたそれは… 巨大な、1つの目玉だった。 大きさは、でかいうさぎの、さらに数倍あるだろう。 血走った目が、ぎょろりとうさぎ達を睨みつける。 それに、 ぴょん!!? 「いや、うさぎはぴょんって鳴かへんやろ」 悲鳴をあげるうさぎ達に、青年は冷静につっこんだ。 が、それを無視(当たり前だが)して、 ぴょん!? ぴょんっ!!? うさぎ達は焦り始める。 それもそうだ。 いきなり巨大な目玉が現れたら、びびって当然。 しかも… 〈…下等ナ生物ガ… 我ノ眠リヲ妨ゲルノハ、ドイツダ?〉 目玉が、声を発する。 その声は深く、暗く… 圧倒されるもの。 ぴょんっ…!!? 目玉に睨まれ、うさぎ達は完全に怯えだす。 集まり身を寄せ、ガタガタと震える。 〈去レ。二度ト我ノ前ニ現ワレルナ〉 また声が響いたとき。 ぴょん…!!!! 「いやだから、うさぎは…」 やはり青年のつっこみは無視。 うさぎ達は、一斉にこくこくと頷いて。 来た道を、ドドド!!と音をたてながら、凄まじい勢いで戻っていった。
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