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畳に手を付き頭を下げながら佐助は思う。
いつか、同業のかすがとはこうなるだろうと思っていた。だから覚悟は出来ていた。しかしいざこうなると…
それに相手はあの風魔小太郎だ。
『伝説の忍』『風の悪魔』
実際に実在するのか…それすらも謎に包まれている忍。
そんな噂が流れ、
俺も『流して』きた。
「ふっ…」
昼間、畳を見つめながら表した表情と同じ物を、闇の中を移動しながら溢した。
よりによって…
「俺様もまだまだ『忍』に成りきれてねぇ…ってか?」
かすがとは同じ故郷出身だ。
しかしそれ以前に、
佐助は小太郎と出逢っていた。
急に、視界の隅にキラリと光る物が見えた。佐助はそれをかわす為に横に飛び退けたが、
的を失ったそれは、カカカッと鋭い音をたてて屋根に突き刺さる。
もしそこに未だ佐助がいたとしたら全て急所に入る位置に。
この紋章、この形…
意識より先に流れた汗が背中を伝う。
『風魔手裏剣』
間違い無い、これは、アイツの…
「…ちっ」
ボシュッという音と共に、漆黒の羽根が舞い落ちる。目の前に、予想した人物が姿を現す。
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