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「くっ!」
ガキィッという鉄がぶつかる音。
白の斬撃を左の手裏剣で受け、黒の斬撃を右で弾き返す。
「おいっ!待てって…っ」
腕が痺れる。
このままでは、押し負ける。
「ちょ…っ!」
速さも、力も、もう
今の小太郎には敵わなくなっていた。
まるで声など聞こえていないかのように、機械のように、攻撃は続く。
―違う…俺はお前に……っ
「小太郎っ!!」
気付くと、無意識にその言葉を発していた。
勢いのついた左手は、小太郎の忍刀を弾き飛ばす。
そして、
―……動揺、してるのか?
攻撃は止んだ。
弾き飛んだ忍刀がクルクルと白い円を描きながら瓦に突き刺さる。
ふっと、安堵か呆れか
苦し紛れの笑みが溢れる。
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