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―…前者だったって訳ね。
忘れられていた事が、悲しいような安心したような複雑な心境。
小太郎は瓦に刺さった忍刀を引き抜く。しかしそこから佐助に向かうことは無かった。
その隙に乱れた息を整える。
「…覚えてねぇか?俺の事…」
隙は全く見せないが、殺気は確実に薄れていた。
「まだ俺様も有名じゃないってことね~」
そう言って、少し肩を竦めてみせる。小太郎を正面から見つめれることなど稀だろう。
「俺の名前はな…猿飛佐助だよ。苗字は変わっちまったけど…」
―やっと気付いたかよ…傷つくなぁ~
佐助から小太郎の目は見えないし、声を出した訳でもない。
しかし佐助には解った。
驚いた時、恥ずかしい時、嘘がバレた時、
小太郎は口を真一文字に結ぶ。
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