幕間で考える役者たち

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     階段を走り抜け、最上階の窓を蹴破って月泥棒は夜空に躍り出た。夜の冷たさが彼らを包んだ。不思議と地上三階の高さは怖くない。納呀は眼を見開いた。眼下にきらめく市街は陳腐でcheapな模型玩具だった。  月泥棒はワイヤーに吊られたような動きで夜を駆ける。納呀は全身に夜の涼しい風を浴びた。  そのとき納呀の頬を涙が伝ったけれど、それは怖さや悲しさで流れたものではなかった。しかしそれが何なのか、納呀にはわからない。    月泥棒は、この街で最も高層の時計塔に静かに降り立ち、抱いていた納呀を腕から下ろした。    
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