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目の前で、はらはらと散ってゆく紙吹雪を見ながら、納呀は今夜の市街を俯瞰している。
しかしやがて、灼けるように熱い自身の頬に気がついて立ち上がった。
(……あ、)
やはり今夜の納呀は心より躯に感情が先行しているらしい。
(……あ、あ!)
納呀は唇に指先を当てて必死に先刻のことを回想しようとした。
勝手にひとを連れ回した揚句、B級映画さながらの、薄ら寒い捨て台詞を残して消えやがった、あの似非紳士。
あれは、……
あれは……
(baiser?)
また納呀は腰に力が入らなくなって、その場に座り込んでしまった。
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