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がたがたと揺れるその馬車が市街を駆け抜けている時刻、Zizは銀月社に電話をかけていた。
「撮影成功です。月泥棒のフィルムは明後日までに送りますから」
短い通話を終えたZizは公衆電話を離れた。彼の足音とともに、懐中の黒いKnifeが立てる金属的な響きも遠ざかってゆく。
舞踏ホールから、踊り疲れた人々が次々と玄関から出て来る。ざわめきはやがて散っていった。
ゆっくりと今夜の夢は覚めていった。
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