白黒の日々

2/16
前へ
/210ページ
次へ
     翌朝、著名財界人の死とその猟奇殺人のnewsが街中を駆け巡る時刻、寝間着に着替えた納呀は死んだように眠っていた。  午前10時過ぎに遅い朝食を持って行ったが、納呀は匙を何度か上げ下げして僅かにSoupを飲んだほかに何も口にしない。  Sylvesterは、納呀の口に体温計を銜えさせてみた。気怠い表情で虚空を見つめる納呀の口から透けるような唾液の糸を引いて持ち上げられたその体温計がを示す37C゚.  ――度重なる外出がやはり身体に障ったのかもしれない。Sylvesterは、すこし反省した。  納呀はちょっとしたことですぐに微熱に冒されてしまう。  
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加