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暗闇の小さな光
「母上…姉上……一人にしないて……」
漆黒に染まる闇の中、一人の少女が泣いている。
少女の目の前の池には深紅の蓮の花が浮かんでいる。少女が涙を落とすと、池に落ちる寸前に真珠と変わる。ポチャンと音をたて真珠が池に落ちると、水面に綺麗な弧が一瞬描かれる。それに合わすて蓮の花も揺れる。
池の周りには、鮮やかな色をした桔梗が咲いている。その後ろに闇に溶けるような色をした藤の花が夜風に吹かれさわさわと揺れていた。
「一人は…怖い…」
闇の中の少女を照らすように、月の光が凄く輝いていた。
少女が着ている十二単が夜風に揺れる。
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