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果てぬ想い
彼が病気にかかっているのを知ったのは、彼が急に倒れた時。最近の事。
その日から彼の体はどんどん弱っていって、終には歩けなくなってしまった。
今もベッドで寝ている。
医者から受け取った薬も効果が薄れてきていた。
医者は、彼の余命を三ヶ月と唱え、僕から未来と希望を奪っていった。
「……陸」
「………ん?」
「調子はどう?」
「………まぁまぁだな」
一拍置いて答えた彼の声は弱々しくて、自分には何も出来ないのだと、実感させられる。
出来るとしたら、彼の側に居る事と、彼との未来を望む事位か。
「そう……ゆっくり寝ててね」
「お前が起こしたんだろう」
「うん…ごめん」
「謝らなくていい」
彼は優しく笑って一言「寝る」と言い、目を閉じた。
途端、僕の目に涙が溜ってきて、彼に気付かれない様声を殺して泣いた。
彼と共に過ごした日々はとても楽しいもので、それこそ喧嘩ばかりだったけど、それさえも幸せで
彼が居なくなってしまうなんて想像出来ないし、考えられなかった
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