小柴垣のむこう

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ゲンノおもむろにズボンを下ろしつつ 「汝に我が立派なる息子を見せるなり。さすれば汝、我が虜になりたりけるや」と、言いけり。 幼女それを聞きければ、悲鳴を上げて逃げたりける。 ゲンノ 幼女の逃げ去るさまを見送りて 「幼きが 泣きて逃げるを 見給ふも いとめでたうと 思いけるらむ」 と、歌を詠みけり。 ゲンノ、 「幼女に逃げられ、すずろに悲し。今夜は飲み明かすなり。」と言いければ、帰路に着きける。
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