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柔かで、温かい彼女の笑顔。
それは、僕の一瞬で冷えきった心を、春の日差しのように、じわじわと温めてくれた。
彼女の幸せは僕を幸せにするんだ、って何故かそう思った。
瞬きも忘れてじっと見つめていたら、彼女が僕に気付き、この前と同じようにふわっと笑って会釈をしてくれた。
僕ははっと我に返って慌てて会釈を返した。
彼女はそんな僕の仕草が面白かったのか、一瞬可笑しそうにくすっと笑って彼氏の方へ向き直った。
彼氏の方が「知り合い?」と彼女に聞く声が聞こえる。
僕は羞恥で一気に顔に血が上った。
―恥ずかしいとこ見られちゃったなぁ
…でも、違う笑顔が見れたからいいか…。
そんなことを思いながら、僕は真っ赤な顔で幸せそうな二人の…彼女の後ろ姿を見送った。
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