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『カラン、カラン』
春の陽気が温かい、穏やかな昼下がりの午後。
不意に響く、透き通ったベルの音。
「いらっしゃいませ」
僕はコップを洗う手を止めず、客に向かって声をかけた。
その客は僕の店に来るのは初めてだったみたいで、中々席に着かない。
僕は食器を洗う手を止め、顔をあげながらにこやかに言った。
「どこでも、好きな席へどうぞ」
そして、客の顔を見た僕は、その容姿に目を奪われた。
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