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いくらなんでもこりゃ無茶振りだろ?…最初はそう思った。
でもさ、なんとなくだけどさ、俺、覚えているんだ。
こうやって、沙都子と二人で買い物に来たことを……。
そう、お前はこういうヤツなんだよな。
一見仲間内の中では一番子供っぽくて、わがままで。
…だけど、本当は一番のしっかり者。
俺なんかよりずっと料理も得意だし、レナや梨花ちゃん、魅音に勝らなくたって、一生懸命家事をこなしている。
…誰よりも努力家で、でも誰よりも弱くて……。儚くて………。
「さぁ、行きますわよ!!」
ぐゅっと結ばれた、小さな手の感覚。
ふと沙都子の表情を眺める。…まるで、遊園地に来た子供のように無邪気な笑顔だった。
そう、俺は覚えている。
この手の感触と笑顔も、全部、全部……
「うし!俺も覚悟を決めたぜ沙都子!」
「?」
沙都子の手を、沙都子が繋ぐ、その手の力以上に強く握り返す。
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