第1話

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ゆっくりと、ゆっくりと自販機へ向かう。 一歩一歩、踏みしめるように……。 意識してはいないが、俺は少しいつもと違った雰囲気を醸し出そうとしているのではないだろうか……。 そんなことが頭を過ぎったが、何故そんなことをしているのか、何故そんな思考が芽生えたのかは知らない。 ただ、何か予感がした。 それだけは、自動販売機に向かう途中で知っていた。 誰に教えてもらったわけじゃないが…………なんでだか、そんな気がした。 これで、何も起こらなかったら、自動販売機までの道のりと思考はなかったことにしよう――そう心の中で決めて自販機の前で、伏せていた目を大きく開けた。
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