第九章

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「ごめんね?」 「…お前は、怖くなかったのか?」 「え、何が?」 「…やっぱいい」 大翔は気の抜けたように言ってから、私をソファーに引き寄せた。 大翔が座っているのは一人掛けソファーで、必然的に大翔の膝の上に乗っかった。 「大翔?」 ちょっとびっくりして立ち上がろうとしたら、きつく抱きすくめられた。 「俺は怖いんだよ、いつも捕まえてないと消えちまいそうで…」 真剣な、苦しそうな声が耳元に吐き出される。 でも…、私は心の中で自嘲し、小さく笑みを落とした。 「大翔、ごめんね」 いろんな意味で。 ・
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