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疑心暗鬼
これはテストだ。参加者は俺の他に何人もいたが残っているのは俺だけ。完璧主義ではないが、最後の一人となれば最高の結果を目指すしかない。
テストとは単純で、窓も何もない部屋で何日も過ごすというものだ。被験者は観察者とマイク越しに会話でき、抜けたくなったら抜けてもよい。しかし一番最後まで残った者には、賞金が出るのだ。その額1日当たり100万円。
何十日か過ぎたころ、一人の男が発狂するのがスピーカーから聞こえた。そして直後脱落を伝える放送が流れる。
被験者たちは少しずつ減っていった。しかし俺は諦めなかった。何ヵ月も耐えた。あまり美味しくない食事にも慣れてしまった。
そして昨日、俺以外の全ての被験者が脱落したことを聞いた。金も欲しかったが、何よりも自尊心の満足が喜びを増大させた。
泣き崩れ、長期間の努力が報われたと安堵したときのこと
「…うぅ」
かすかにスピーカーから人の声が聞こえた。小さすぎて、確かだとは言えなかったが、俺は部屋を出る勇気を失った。何ヵ月の努力、我慢を危うく無駄にするところだった。
そして今、スピーカーの声「あなたが最後です」がどうも信じられず、ためらっている。
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