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運高校のとある教室。昼休み時間、死ねと油性のペンで大きく書かれた机に突っ伏して寝たふりをしている男が居る。中田である。
決して顔を上げず、漂う空気のように存在感を薄くし、ただじっと昼休みか過ぎるのを待つ。誰かが中田の存在に気付くと、必ず迫害が始まる。その為、辿り着いた究極の防衛策が寝た振りである。
そう彼はイジメを受けていた。
そろそろ、昼休みも終わる頃かな…。早く学校から帰りたいな…いや、帰ったって家にも僕の居場所なんて無い…生きてるって辛いことばっかりだよ…。誰か…誰かに助けて欲しい…。
「ねえ、中田くん。起きてるんでしょ?お願い、顔…上げて。」
優しい声だった。同じクラスの牧村の声。中田の好きな娘の声。救われた気がして、中田は顔を上げた。
「ふ、ふああぁ。まま、牧村サンじゃあないデスカ?寝起きで居たからびっくりデース…あぁ、嘘じゃなくて本当に眠くて…」
思わずキョドった。
「ふふふ、なんだソレ。中田くんって面白いんだね。」
牧村は優しく微笑んでくれた。
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