~プロローグ~

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~プロローグ~

1992年某日 -モスクワ- 昨年、ソビエト連邦はその70年近い歴史に幕を下ろした。 新生ロシアが生まれて一年ほどたったある秋の日、私は出版社から執筆の依頼を受ける。 人々の失望を吹き飛ばし、自尊心を取り戻してもらおうというような主旨であった。 過去の栄光というのなら、先の大祖国戦争を題材にしようと思い、私はいろいろな人に当時の体験を取材する事にした。 数日後、退役軍人の方から取材承諾の電話が事務所に入る。 当日、驚くことに事務所にやってきたのは一人の老婆であった。
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