男心と秋の空

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それを受け取ると、綺麗だとついさっき思った指で、ハンドルを握る。 『驚愕して頷きました』そんなことは、ヘルメットを受けとってしまった今、言うことが出来ず、戸惑いつつも、ヘルメットを被り、彼の後ろに跨がった。 免許はあるのだろうか? 頭を掠めた不安をよそに、腰に手をまわすと、バイクは、風をきって走り出した。 体全体に受ける風が、冷たい。風の音がうるさい。 そんなことだけを思っていた。 一匹狼で、不良の中でも、一目おかれる彼の運転は、群れから離れた鳥が群れを探すように、右に左にと動く。 だがその動きは、決して荒いものではなく、彼の手と同様に、滑らかで綺麗で、恐怖心など、微塵も感じさせるものではなかった。
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