Case2 怪人+お嬢様=世界征服!?

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「…私にだって…」 二人が部屋を出て、扉が閉まるのと同時に メイドはポツリと呟く 「…私にだって、彼に負けない位、いえ、 彼以上の忠誠心はありますわ?」 そう、主人へと向けられた目は真っ赤で 涙で潤んでいた 「…何故、私でなく彼なんですか?」 グスリと鼻を鳴らし、震えた声で問う 「…言っただろう? 今は、兎にも角にもデータが欲しいんだ」 そう言い、主人はメイドの側へと近づく 「データが集め終り、強化が完了したら、 真っ先に君に渡そう」 まるで、 泣いている子供を綾す様に、メイドの頭に 手を置き、ゆっくりと撫で回す 「だから、 暫くは彼のサポートをしてくれないか? …きっとそれは、忠誠心の高い君にしか 出来ない事だからね?」 「…はい」 表面張力に耐え切れず、目から流れ落ちる 涙を拭い、先程までの泣き顔とは違う、 普段の、凛とした面持ちで返事を返す そして、どこからともなく取り出した デッキブラシをクルリと回し、 「旦那様の命令とならば…」 デッキブラシをダン!と床へと突き立て、 立て膝をつき、メイドは晴れやかに言った 「…期待、しているよ?」 主人のその一言を聞くと、ニコリと笑い、 立ち上がってお辞儀をすると、踵を返し、 部屋から立ち去った
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