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こっそり布団をめくると、デカすぎるベッドの端で太志は丸くなって眠っている。
まるで本物の豚だな。
そんな太志はちゃっかりパンツをはいている。
ずるい。
自分だけ。
あたしはベッド脇の小さなガラステーブルに置かれたペットボトルの水を一気に飲み干し、視線を昨夜食べ散らかしたであろう食べ物に移した。
ほとんどの料理が食べかけの状態で残っているというのに、あたしの作ったケーキだけは、綺麗に平らげてある。
……太志。
きっと太志が全部食べてくれたのだ。
「太志~!」
お礼を言おうと太志の体を揺する。
全然揺れない。
さすがふとっちょ。
もう一度揺すろうと体に手を置いたとき、あたしは気がついてしまった。
右手の薬指に光る、指輪。
「何コレー!?」
ベッドのなかの太志はゆっくり瞳を開けて、
「クリスマスプレゼントだよ」
と笑った。
あたしの瞳は涙の膜でおおわれていた。
おしまい
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