目覚めたらふとっちょ

2/7
1413人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
太っちょ彼氏 _____________ 「いてて」 頭が痛い。 痛いなんてそんなものではなくて、割れそうな勢いだ。 むしろすでにヒビが入っていて、何か液体が漏れているんじゃないだろうか。 あたしはズキズキ痛む頭を抑え、ゆっくりベッドから体を起こした。 あれ? ここはどこだろう。 まったく見覚えのない景色が目に映る。 あたしの部屋のテレビは、もっと小さい。 クリーム色をしたソファーなんて、見たことない。 何? このラブホテルみたいな……。 まさか!! 慌てて布団を捲った。 ああ。 死にたい。 布団の中のあたしは、生まれたままの姿をしていた。 間違いなく、誰かとヤッたようだ。 記憶は…… うん! ない。 「う~ん」 もぞもぞと動きながら隣から聞こえた声にハッとする。 男だ。 絶対男。 鉄板男だ! わかってはいるけど、見る勇気がない。 ぶっさいくな男が出てきたらショックだ。 勇気を出せ。あたし。 恐る恐る布団を捲った。 「ひぃ!?」 驚いて出てしまった声で起きてしまったのか、 彼は目を擦りながらあたしを見上げた。 「おはよう」と、満面の笑みを浮かべて。 .
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!