1413人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
太っちょ彼氏
_____________
「いてて」
頭が痛い。
痛いなんてそんなものではなくて、割れそうな勢いだ。
むしろすでにヒビが入っていて、何か液体が漏れているんじゃないだろうか。
あたしはズキズキ痛む頭を抑え、ゆっくりベッドから体を起こした。
あれ?
ここはどこだろう。
まったく見覚えのない景色が目に映る。
あたしの部屋のテレビは、もっと小さい。
クリーム色をしたソファーなんて、見たことない。
何?
このラブホテルみたいな……。
まさか!!
慌てて布団を捲った。
ああ。
死にたい。
布団の中のあたしは、生まれたままの姿をしていた。
間違いなく、誰かとヤッたようだ。
記憶は……
うん!
ない。
「う~ん」
もぞもぞと動きながら隣から聞こえた声にハッとする。
男だ。
絶対男。
鉄板男だ!
わかってはいるけど、見る勇気がない。
ぶっさいくな男が出てきたらショックだ。
勇気を出せ。あたし。
恐る恐る布団を捲った。
「ひぃ!?」
驚いて出てしまった声で起きてしまったのか、
彼は目を擦りながらあたしを見上げた。
「おはよう」と、満面の笑みを浮かべて。
.
最初のコメントを投稿しよう!