一章 夢から覚めて

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「え…?」 「この場所に時間は存在しない。だからこの夕暮れは、決して暮れないの」 「どういう事だよ?」 「言葉の通りだよ。時のない世界。僕たちに時はもう何の意味もなさない」 セシリアの横に、いつの間にか気付かぬ内に一人の男が立っていた。 俺は知ってる。その男を。 「ロイド…」 「まだ立ち止まってるのか?まだお前がここに来るのは早いだろ?」 振り返ってみたら、そこにはイサールばあさんがいた。 「俺は…」 次の瞬間、視界が暗転する。 まるで出口のない沼の中にいるような、そんな感覚が俺を襲った。 まどろみの中、必死にもがき光を探す。 たがどこにも光もなくて、俺はただその中で、誰かの声を求めた。 「セシリア!ロイド!イサールばあさん!」 暗闇の中に浮遊する体、声だけが周囲に響き渡った。 返ってくる声はない。 一人きりだった。
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