774人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここは…シェリル村…」
俺が育った孤児院の庭を子供達が楽しそうに駆け回る。
明るい日差しの下、懐かしい景色が俺を迎えてくれた。
「ルイ」
「え、まさか…シバ先生…」
子供達の向こう側に俺を見る、丸眼鏡に白髪、白髭の男がいた。
彼は優しい笑顔を見せる。どこか懐かしいものを見るようなその目。
時に厳しく、時に優しく、俺を導いてくれた父親のようなヒト。
シバ先生がそこにいた。
「ルイ、どんな時にも自分を見失うんじゃない。たとえ誰かを失い、誰かを傷付けたとしても」
「ど、どういう事?」
シバ先生は再び笑顔を見せると俺に背を向けた。
「ま、待ってシバ先生!」
シバ先生の背中を追って手を伸ばす。
だがその手はシバ先生の体を通り抜ける。
その瞬間彼の姿は消えて無くなった。
同時に庭で遊んでいた子供達の姿も消えて無くなる。
最初のコメントを投稿しよう!