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「痛つつ……って、お前も魔法使いなのか!?」
上海の槍で思い切りぶっ叩かれた魔理沙は頭を痛そうに押さえながら悠吾に聞いた。
「一応ね、でも二人みたいな一人前ではないけどね。
……頭は大丈夫?アリスもやりすぎだよ!」
「い……いいのよ!魔理沙には何を言っても無駄なんだから!」
「はいはい、あんた達賑やかなのはいいけど、準備できたわよ~」
アリスが容疑を否認、それどころか開き直ったところで霊夢が戻ってきた。
「なんだもう帰るのか、レアなアイテム見たかったぜ……」
「魔理沙、文句言わないの。……でも、あと少しくらい泊まっても良いわよ?」
「そうね、今日はアリスの家で過ごすとして……明日以降はどうしましょうか考えないといけないわね」
「気持ちは嬉しいんですが、さすがに魔道具を持ち出したままは親に怒られ……ん?」
悠吾はふと違和感を覚えた。魔理沙、アリスの声は分かってるし前方から聞こえてきた。しかしその後の声は聞いたことも無ければ背後から聞こえた。背筋が凍るような感覚に襲われて恐る恐る振り向いた。
「こんにちは♪」
そこには長い金髪の女性の生首が浮いていて、笑顔で話かけてきた。「ひっ!!なっ生首!!」
「きゃっ!どこ触ってんのよ!!」
悠吾気がついたら防衛本能が働いてとっさにアリスの後ろに隠れていた。
「悠吾、落ち着きなさい。それは生首じゃなくてあんたを幻想郷に連れ込んだ張本人、八雲 紫よ」
「あら霊夢、ご挨拶ね」
紫と呼ばれた生首が返事をすると空間に亀裂が走り、両端にリボンのような装飾がついた切れ目が生じて体と一緒に出てきた。
「ちなみに彼は私が連れてきたんじゃないわ。その腕輪のせい……あと、魔理沙はお仕置きね」
紫はそう言うと縁側に座ってお茶を飲んだ。
それと同時に魔理沙が姿を消したが、悠吾はそれに気づかない。
「紫さん!この腕輪について知ってるんですか!?」
悠吾は紫に詰め寄って腕輪について聞こうとするが、霊夢に腕を出されて制止される。
「紫、あんたさっき彼を帰そうとしないで幻想郷に留まらせようとしたわよね。なんで?」
紫は湯呑みを置くと、一息ついてから話し始めた。
「纏めて言うわ……谷田川 悠吾、あなたは現代には帰れない」
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