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「大した怪我じゃなくて良かったわね。私はアリス・マーガトロイド。あなたは?
見たところ外来人のようだけど」
悠吾はアリスと名乗る少女の家で手当てをしてもらっている。幸いにも頭に瘤ができた程度だったので湿布を貼ってもらったとこだ。
アリスの家のリビングには大きな食器棚が多くあると思ったらその棚の中には多くの人形が入っている。正直少し気味が悪い。
彼女はどう見ても日本人じゃない。しかし流暢な日本語を話す。
「僕は谷田川 悠吾です。あの……アリスさん、僕は日本人ですよ?あとここはどこなんですか?」
「なるほど、本当に外来人みたいね。
まず、ここは幻想郷と言って貴方の世界とは別の世界よ。そしてあなたのように何らかの方法で迷いこんでしまったしまった人を総じて外来人と呼ぶの」
別の世界。普通なら信じられない事だが、悠吾も魔法使いで常軌を逸した存在。驚きはしなかった。
「アリスさん……僕は元の世界に帰れるんでしょうか?」
不安の混じった悠吾の問いにアリスはクスリと微笑んで答えた。
「アリスでいいわ。それと敬語はいらない。
幻想郷の住人は基本的に堅苦しいのは嫌いなのよ。安心なさい。外来人を元の世界に帰す神社があるから大丈夫よ。今日は遅いから家に泊まってきなさい」
「んー……ありがたいんだけどアリスはいいの?僕なんかを泊めても」
「子供のくせにくだらない事を気にしないの。さあどうぞ、紅茶が入ったわ」
(子供って……見たところ同じ位なのに……)
ぶつくさ呟いていると先ほど光線を放った人形が紅茶を悠吾の目の前に置く。
「ありがとう、よくできたロボットだねこれ。僕の世界でも実用化なんてされてないのに」
「ロボット?……何かと勘違いしているみたいだけどこの子は人形よ。自我はあるけど私が魔力を与えて動かしているの」
喋り終えるとアリスは紅茶を口に含み、人形を後ろにさげる。
「魔力!?……って事はもしかしてアリスは魔法使い!?」
「ええ、あなたの世界には物語の中にしかいないと思うけど、私はその魔法使いなの」
「アリス……実は、僕も魔法使いなんだ!」
二人は互いに驚き合った。アリスは外来人が魔法使いだった事に。悠吾は初めてみる自分の家族以外の魔法使いに。
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