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「どうしてこうなった……」
悠吾が戻ってきて思わず漏れた言葉はそれだった。
お酒のせいか顔は紅潮し、だらしなく服の胸元をはだけさせ、だけど健やかに眠っている魔理沙とアリス。そしてニヤニヤしながら高速でシャッターを切る文。
傍から見たら文はただの危ない人にしか見えない。
「あっ、悠吾さんいたんですか!?」
「う……うん……なにがあったの?」
もはやドン引きしている悠吾に構わず文は流暢に語る。
「いやあ、あの後アリスさんと魔理沙さんが取っ組み合いの喧嘩を始めてしまいまして。それで周りの人にも迷惑がかかりそうになって霊夢さんと萃香さんに取り押さえられて気絶させられたんです」
「……二人がこの状態になったのはわかったけど……なぜ撮る!?」
文は一瞬ピタッと止まったかと思うと怪しい含み笑いを浮かべてカメラを悠吾に向けた。
「私は記者ですよ?スクープの臭いを感じたら撮らずにはいられません!!」
文は当然と言わんばかりに胸を張った。悠吾は内心、まったくスクープにはならないと思ったがあえて口には出さないでおいた。
「そこまで堂々としてるともはや尊敬するよ……ところでソイルさん戻ってこなかった?」
「来てませんよ?でもさっき紫さんと話してたのを見かけましたね」
文が思い出したように呟く。どうやら2人は入れ違いになったようだ。
「さて、私はこれから新聞に記事を纏めないとなので失礼します!」
文はそう言い残すと翼を羽ばたかせて飛んで行った。悠吾はその姿を目で追うが一瞬で見えなくなる。
(まったく、忙しい人だ)
悠吾は振り返り、とりあえずアリスと魔理沙を起こすことにした。
(このまま寝たら風邪を引くかもしれない)
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